平成16年8月28日版





 私たち「女性の人権をまもる会」は8月20日、「女性の人権についての公開質問書」を、奈良市長選立候補予定の大川靖則さん、鍵田忠兵衛さん、日和佐穣甫さん、大田原昌嗣さんにお渡しし、26日までに御回答を全員からいただきました。

 以下に公開質問書の問1〜3と、各御回答を転載し発表します。御回答の順番はいただいた順に大田原さん、鍵田さん、大川さん、日和佐さんとして敬称略で転載しました。

 なお、鍵田さんからの郵送での御回答には「奈良再生プログラム」の冊子が添付されてありました。
 公開質問書の内容については皆様色々な御意見がおありかと思いますが、「女性の人権をまもる会」の考えを書きました。根本的に「ジェンダー」の認識で書いております。

 問1については、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(女性の性と生殖に関する基本的権利)」を意識して書きました。少子化がまるで「女が産まないから悪い」などという男性中心の社会風潮がある中、「女性こそが被害者だ」という声をもっと上げたいと思いました。

 問2については、奈良市役所の中で男女平等が進まない限りは、市の男女平等政策も進まないのは明らかですので、これは重要な問題だと考え書きました。回答の中で「女性職員の意欲」という言葉を使っている回答が多いことが気になりました。意欲が出る前にどれほど多くの負担(例えば家事労働等の無償労働(アンペイドワーク))が女性の肩にかかっているかの認識が果たしておありなのかと首を傾げました。男性の働き方や生き方の価値観を問う回答が無かったのは残念。短い回答の中に入れるのは無理だったんでしょうか。

 問3については、「ミス・コンテスト」を3人が「廃止すべき」とし、現職だけが存続の立場を取り、はっきりと別れました。実は私・酒井の従姉2人も昔、姉妹一緒に「準ミス奈良」と「着物の女王」となりました。当時の従姉達は芸能界進出も希望していました。そのような目標を個人的に持つのは自由ですが、市の税金を使うべきではありません。
現職はミス奈良を、奈良の「魅力を大いにPRするために活躍」と擁護されますが、男女平等がもっと進んでいる海外から見れば、「日本は、奈良は、何て人権意識の低い所だろう」と内心あきれておられるかと思います。

 以上、皆様のご意見をお待ちしております。                      2004年8月28日 

                 
「女性の人権をまもる会」代表 酒井孝江
奈良市学園緑ヶ丘2-8-15 〒631-0026
電話0742-44-9196/FAX 0742-47-5672


以下は、公開質問書と御回答です。



                                                   2004年8月20日
 奈良市長選候補予定者

                様

                 
「女性の人権をまもる会」代表 酒井孝江
奈良市学園緑ヶ丘2-8-15 〒631-0026
電話0742-44-9196/FAX 0742-47-5672


    女性の人権についての公開質問書

 選挙前のお忙しい時期に失礼いたします。
 さて、私たちは市長選候補予定者の方々が、女性の人権についてどのように取り組まれるかお考えを知りたいと思います。
 お忙しいところを申し訳ありませんが、8月26日までにFAX等で御回答いただきますようお願いいたします。
 なお、御回答は公開させていただきます。


                               記

 問1.先日発表された奈良県の出生率は1.18で、全国順位ワースト3位ですが、県内の待機児童は4月1日現在278人で、このうち232人を奈良市が占めています。今の奈良市は仕事と家庭を両立させながら子育てできる環境が整っていません。リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(女性の性と生殖に関する基本的権利)のうち、子どもを産み育てる権利が侵されているといえます。これについてどのようにお考えですか。


(回答)

 大田原: 待機児童が解消出来るよう、保育所の増設を検討しボランティアを支援して、子育出来る環境を整備すべきです。

 鍵田: 私は、8月19日に「奈良再生プログラム」として公約を発表させて頂きました。その中で保育所待機児童の問題は子育てしやすい環境を整える方策として取り組みたいと考えています。国の「教育特区」制度を活用し、幼稚園と保育所の一体化を図り地域住民の皆様のニーズに合わせた運営により、待機児童の減少に取り組みたいと考えます。

 大川: 今日の深刻な少子化傾向に歯止めをかけるために、次代を担う子どもを産み育てやすい環境の整備・充実は重要課題であると認識しております。
 特に、仕事と家庭を両立させながら子育てができるための環境の整備は、最重要課題であります。その対策として、待機児童の解消は保育行政の大きな課題であり、民間活力を導入し、新設や既設保育園の増改築を行ってまいります。
 また、就労形態の多様化による保育需要に対応できるよう、特別保育事業の充実にも努めてまいります。そして、また、本年10月、男女共同参画センター「あすなら」内に、ファミリー・サポート・センター、子育て支援センターを開設し子育て家庭に対する育児支援を行います。なお、現在、公立保育園では、園庭解放や子育て相談も行っています。

 日和佐: 全くその通りです。多くの女性が理想の子どもの数を3人とこたえながら、実際は出生率が下がり続けています。奈良市が16年3月に奈良市子育て支援に関するアンケート結果報告をしています。それによると、理想の子どもの数をもてない理由に「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が78.8%「子どもが伸び伸びと育つ社会環境でないから」が27.2%等となっています。保育所は働く女性にとって子育てするために欠かすことのできない施設です。少子化が進んでも、女性の社会進出や経済的な問題から保育所の利用は増え続けています。待機児の問題も深刻です。特に育児休業明けの年度途中の入所はきびしく、これでは育児休業制度はあっても利用できないことにもつながります。女性の働く権利を保障するためにも緊急に保育所の新増設が必要です。又、乳幼児医療の無料化の年令をせめて6才まで引き上げ父母の子育ての経済的負担を軽減すべきです。

 問2.奈良市役所の中で男女平等が進めば市民への見本となりますが、市女性職員は課長補佐級以上が4%しかいません。奈良市男女共同参画計画には女性職員の管理職への登用に目標時期や目標数値がなく不完全です。育児休業の取得率は女性100%に対し男性1%で、明らかに男女不平等です。これについてどのようにお考えですか。


(回答)

 大田原: 男女平等、差別撤廃の理念から、能力のある職員は、女性であっても管理職に登用すべきです。育児休業の取得は、個人の生活様式や家族の考え方が反映されるものなので、公的機関がどうこう言うべき問題ではないかと存じます。

 鍵田: 市職員の管理職の男女比率については、私も若干の疑問を持っています。しかしながら、管理職の登用は目標や日限を切って行うものではなく、個々の能力や特性を有効に活用できるシステム造りが必要であると考えます。女性も男性も含めてやり甲斐のある、人事システムを構築したいと考えます。

 大川: 女性職員の管理職への登用については、男女雇用機会均等法及び男女共同参画社会基本法の理念に基づき策定された本市の男女共同参画計画実施計画に沿って本人の能力、適正及び意欲を見極める人事管理のなかで適材適所への登用を促進しています。ご指摘のとおり、課長補佐以上の管理職のうち女性の割合は約4%でありますが、係長や主任等の監督職については約31%が女性職員であり、管理監督者全体の約22%を女性職員が占めています。今後も女性がその能力を十分に発揮できるよう、積極的に職域の拡大や能力開発に努めるとともに、職場環境や研修制度の整備を積極的に推進するなどにより、意欲と能力のある女性職員を積極的に管理職や監督職に登用し、男女共同参画社会にふさわしい人事制度の構築に努めてまいります。
 また、育児休業については、育児休業法に基づき「奈良市職員の育児休業等に関する条例」を制定し、職員が仕事と子育ての両立ができる環境整備に努めております。子育ては男女が協力して行うべきものであり、男性についても育児休業が取得しやすい環境の整備に取り組むとともに、育児休業制度の周知・定着に向けた啓発に努めてまいりたいと考えております。

 日和佐: この問題についてもご指摘の通りです。男女共同参画社会の基本理念には、「男女が社会の対等な構成員として社会のあらゆる分野に参画する機会が確保され」とあります。この理念を奈良市が市の意志で実行できる、市職員の女性の部課長への登用も大変遅れています。女性の政策方針の決定実施に、積極的参加を保障するためにも、せめて奈良市職員の管理職への登用には、目標時期や数値を示し積極的登用を計るべきです。市の各種審議会への女性登用についても同様です。

 問3.社団法人奈良市観光協会の平成15年度ミス奈良事業収支決算書によると予算額は200万円で、これは奈良市からの補助金です。実質上「ミス・コンテスト」であるミス奈良事業は女性を商品化し、女性の人権を侵害しています。これについてどう思われますか。

(回答)

 大田原: 観光協会と協議して「ミス奈良事業」の廃止も含め、検討すべきです。

 鍵田: 社団法人奈良市観光協会主催の「ミス奈良事業」は、私も税金の無駄遣いであると考えます。

 大川: ミス奈良は、国際文化観光都市奈良市の観光親善を目的として、観光の魅力を大いにPRするために活躍してもらっており、奈良市の大切な事業であります。

 日和佐: 「ミス コンテスト」」そのものはご指摘の通り女性を商品化し、女性の人権を侵害するものと考えます。現在奈良市の「ミス コンテスト」は「ミス奈良」と名称を変更し、募集要綱は女性に限らず18才以上の男女を対象にしています。役割は奈良市の良さを年間を通じPRすることになっています。しかし名称が「ミス奈良」となっている為従来の「ミス コンテスト」と変わりありません。根本的に見直すべきです。

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